BANBAN★BINO

©2003 BANBAN★BINO
TOPBMSS(界霊) ≫ 単純な事

単純な事

・界霊+豊幻
・聖界一本釣、聖霊牛若、聖豊フッド、聖幻ピーター
・腐向け







「なあなあ」

不意に呼ばれて聖豊フッドは振り向いた。
柱の陰に隠れて辺りを見回しながら聖界一本釣が手招いているのを見て、フッドは何事かとそちらへ向かう。
引きずり込まれるように柱の陰に引っ張られると、一本釣は誰もいないかを再び確認した。

「どうしたんだ?」
「わ、悪い…ちょっと聞きたい事があって…」

いつもより覇気のない一本釣を見て、フッドはははぁと顎に手を置いた。

「聖霊牛若の事か」
「ち、違うよ…」

顔を赤くする一本釣を見て笑うと、フッドは肩をすくめる。

「じゃあなんだ。忙しいんだから早くしろよ」
「あ、あのさ…」

言い辛そうに耳打ちをしてくる一本釣の言葉に、フッドは目を丸くして吹き出した。

「やっぱり牛若の事じゃないか」
「そ、そうだけど…で、どうなんだよ」
「何でそんな事わざわざ君に教えなきゃならないんだ」

少々ムッとした顔で言うフッドに、一本釣は頭を掻いた。

「いや、だからさぁ、お前の場合ピーターはどうなのかと思って…」
「さあな?満足してるとは思うが…そういう事なら直接ピーターに聞けばいいだろう?答えてくれるかは保証はしないが」
「いいのか?」

驚いて尋ねる一本釣に、フッドは頷いた。

「別にいいんじゃないか?しかし、君がそんな事で悩んでいるとはな」
「笑うなよ…結構真剣なんだから」

くっくと笑うフッドに、一本釣は困ったように溜息を吐いた。

「ま、頑張れよ」

尚も笑いながら一本釣の肩をぽんと叩くと、フッドは行ってしまった。



「おい、ちょっといいか?」

中庭で花の手入れをしていた聖幻ピーターは、一本釣の姿を見ると手を止めて微笑んだ。

「珍しいね、キミがこんな所に来るなんて。あ、牛若へのプレゼント?だったら今丁度いいのがあるよ」

ニコニコと矢継ぎ早に言葉を紡ぐピーターに、一本釣は苦笑しながらかぶりを振った。

「違うの?じゃあ何?」
「あのさ…」

耳打ちされ、ピーターの顔はみるみる赤くなる。

「何て事聞いてくるんだキミは!」
「いや、お前らがどうこうっていうんじゃなくてさ、ちょっと参考にしようと思って…」
「何を参考にするっていうんだ!?」
「それは…」

理由を話すと、憤慨していたピーターだったが、なるほどねと少し納得したのかその怒りを収めた。

「直接牛若に聞けばいいじゃないか」
「そんなの聞ける訳ないだろ!?」
「どうして?」
「どうしてって…俺に気を遣うに決まってるよ…」

一本釣の言葉に、ピーターはそれもそうかと頷くと、しばし思案する。

「僕たちの場合だけど…僕は全然気にしないかな。むしろ嬉しいって思うけどなぁ」
「そういうもんかなぁ」
「牛若って、案外ハッキリ言う方だよ?嫌がってないならそれでいいんだよ」

尚も考え込む一本釣に、ピーターは笑った。

「キミがそんな事で悩むなんて、何だかおかしいな」
「…フッドにもそれ言われた」
「フッドにも聞いたの!?」

驚いて呆れ返るピーターを余所に、一本釣はらしくなく肩を落とした。

「ま、でも牛若も幸せ者だな」

フフッと笑うピーターに、一本釣は顔上げて首を傾げる。

「キミにそんなに心配されててさ」
「そんなんじゃないよ…」
「ふうん?」

ピーターは花壇から何本か花を手折ると、一本釣に手渡した。

「これ、牛若に渡しなよ。そういう心配するぐらいだったら、たまには違う所で気を遣ってあげたら、喜ぶと思うよ」

礼を言って花を受け取ると、一本釣はその花を見つめながら去って行く。
やれやれ、と苦笑しながらその姿を見送ると、ピーターは作業に戻った。



「綺麗な花ですね。そうか、そろそろ菖蒲の花の時期か」

考えながら歩いていたら前から牛若がやってきて、一本釣は慌てて花を隠そうとして無意味な事を悟ると、その花を差し出した。

「私に?」
「うん…ピーターが…」

言おうとして留まると、一本釣は押しつけるように牛若に花を渡した。

「やあ、これはありがたい。風呂にでも入れよう」
「風呂に入れちゃうの?」
「とても身体が温まるんですよ。後で一緒に入りましょう」

にっこり笑う牛若に、一本釣も顔を綻ばせる。

「あのさ」
「何ですか?」

立ち去ろうとする所を声を掛けられ、牛若は振り返った。

「いつもありがとな」
「いえ?私の方こそいつも感謝してますよ」

不思議そうに笑いながら礼を言う牛若を見ていたら、自分が何で悩んでいたのか分からなくなった。

「お前がいてくれて良かったよ」
「私もですよ。お陰様で満ち足りてます。…急にどうしたんですか?」
「…なんでもない。そんな気分になっただけだよ」

また後で、と別れると一本釣は機嫌良くその場を立ち去った。
スポンサーサイト
BMSS BMSS(界霊) | Comments (-) | Trackbacks (-)