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手を取り合って

・アリババ神帝、神帝フッド、神帝ピーター







アリババ神帝、神帝フッド、神帝ピーターの三人は背中合わせに剣を構えていた。
ジリジリと近づく悪魔の気配に、三人は背中越しに視線を交わして頷く。

「夢鏡剣!」
「聖氷剣!」
「神鐸剣!」

草葉の陰から飛び出す悪魔に、それぞれ剣を降り下ろす。
倒した悪魔が消え去るのを見て、三人は微笑んだ。

「やったな!」
「ああ」
「まだだ!」

拳を合わせて勝利を喜んだのも束の間、フッドがアリババを庇うように前に躍り出し、聖気理力の矢を放った。
その後を舞うように、ピーターの聖氷剣から氷の刃が放たれる。
木の上に隠れていた敵はまともに喰らい、消滅した。

「危なかったね」
「まだいたのか…」
「いや、今のが最後だろう」

再び剣を構えるアリババに、ピーターとフッドはかぶりを振ると武器を納めた。

「ありがとう、助かったよ」
「何、お安い御用さ」

笑顔を見せるアリババに、フッドとピーターは微笑んだ。

「しかし、二人に良い所取られちゃったな」
「何言ってるんだ。皆無事なんだから、それでいいじゃないか」
「そうだよ。気にするなって」
「そうだけど…」
「さ、とっとと進むぞ。いつまでも私たちだけ遅れを取る訳にはいかないからな」

フッドの言葉にピーターも頷き、二人は歩き出す。
その背中を見てアリババは小さく溜息を吐いた。

「…何だか眩しいな」

決して自分の力が劣っている訳ではないが、見事な連携を見せる二人に、アリババは若干気後れした。
天安峠を旅している頃は、自分はもっと二人と近しかったような気がする。
それどころか、先陣を切って歩いていた。
ゴーストアリババになり、ヘブンシティで療養しているほんのわずかな間離れていただけで、見えない壁が二人との間に生じてしまった、そんな気がしてアリババは俯いた。
自分がいない間も、二人は悪魔と戦い続けてきたのだと思うと、一度でも悪魔になった自分はもう皆の中に入れないのではないか、そんな思いにアリババは一人かぶりを振った。

「どうしたんだ?何だか元気がないなぁ。あ、どこか怪我でもしたのか?」

傍に寄るピーターが手を伸ばした瞬間、触れてはいけないような気がしてアリババは後退る。

「大丈夫か?」
「な、なんでもない」

その様子に怪訝な表情を向けるフッドが、自分の心を見透かしているような気がしてアリババは目を背けた。

「本当に大丈夫か?キミが元気ないと、調子が狂うなぁ」
「そうだぞ。普段は危なっかしい程元気なんだからな、君は」
「悪い。ちょっと疲れたみたいなんだ」

笑い合う二人に申し訳ない気持ちを押さえながら、アリババも笑って見せる。

「それなら少し休もうか」
「そうだね」
「いいんだ!」

思わず声を荒げた自分に驚いた様子を見せる二人に、アリババは戸惑いながら謝った。

「すまない…俺の事は、気にしないでくれ」

俯くアリババに、二人は顔を見合わせて肩をすくめる。

「そんな訳にはいかないだろ」
「そうだよ」

呆れたように言う二人が、ますます遠い存在に思え、アリババは拳を握った。

「二人は先に行ってくれよ…俺は一人で休んですぐに追いつくから」
「だってさ、どうする?」
「やれやれ困ったな」

溜息を吐くと、二人はその場に腰を下ろした。

「な、なんだよ、先に行けって…」
「キミを一人になんてできないよ。僕たちいつだって一緒だっただろ?」
「その通りだ。やっと戻ってきたんだからな」
「えっ…」

戸惑うアリババ笑い掛けて、二人はくつろぎ始める。

「最近は何だかあんまり一緒にいるって感じしなかったけど、こうして三人でいるのって久しぶりだろ?」
「嬉しいんだよ。私も、ピーターも。君がいるという事がな」
「お、俺…」

泣き出しそうな顔をするアリババに、二人は驚いた顔を見せた。

「ゴメン…」
「どうしたんだ急に」
「何で謝るの?」

不思議そうに首を傾げるフッドとピーターに、アリババは戸惑った表情を向ける。

「俺、もう二人の中には入れないと思った…一度悪魔になった身だ。もう、前みたいには戻れないって…俺はもう魂が汚れてしまったんだって…そんな気がして…」

言葉を紡ぐアリババのに、フッドとピーターは顔を見合わせると困ったように笑った。

「なんだ、キミもそういう風に思ってたのか」
「えっ?」
「私たちも、君はもう我々とは違うのかと思ってたのさ。悪魔になった云々ではなく、君が余りにも強くなっていくからな」

フッドの言葉にアリババはかぶりを振った。

「そんな…俺は強くないよ…迷惑掛けてばっかで…」
「らしくないなぁ。いや、成長したって事なのかな?」

ピーターに言われて、アリババは顔を上げてきょとんとする。

「少しは我々が気に掛けているという自覚を、持ってもらいたいものだなぁ」
「全くだよね。ま、キミはそういう奔放なところがいいんだけどさ」
「ハ、ハハ…」

苦笑する二人に、アリババは気が抜けたように座り込むと、力なく笑った。

「キミは汚れてなんていないさ。悪魔になんてさ、僕だってフッドだってなったかもしれないんだ。キミだからなったって訳じゃないじゃないか。気にするなよ」

肩に置かれたピーターの手が温かくて、心地良い。

「その通りだ。君が責任感が強い事は知っているが、何も君ばかりが頑張る必要もないんだからな」

そう言ってウインクするフッドは、依然と変わらぬ眼差しだった。

「俺が、勝手に気にしてただけなのかぁ…」
「案外真面目だからな、キミは」

笑顔を見せるピーターに、アリババも笑った。

「そうかぁ、何も変わっちゃいないんだな」
「少なくとも、我々はそう思っているがな」

フッドの言葉に頷くと、アリババは立ち上がる。

「よし!ぐずぐずしてらんないな!今度は俺も、二人に遅れは取らないぜ!」
「だから、そんなに一人で頑張ろうとするなって」
「違うよ。三人で戦う為に、だよ」

親指を立てるアリババに顔を見合わせると、二人も笑いながら立ち上がった。

「俺たち、ずっと一緒だよな!」
「ああ」
「当たり前だろ」

アリババの差し出した手に、フッドとピーターは自分の手を重ねる。
以前と何一つ変わらない絆を感じて、アリババは笑顔を見せて二人の手を掴んだ。
自分を信じてくれる二人の手を、決して離さない。何があっても。
そう強く心に誓うと、二人を見つめ力強く頷いた。
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