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悪戯

・豊幻
・聖豊フッド、聖幻ピーター
・腐向け


「ホントの事」のネタを使ってます。







「美味しい果実があるんだけど」

聖幻ピーターは何気なく聖豊フッドにそう言った。

「ほう。それは是非頂きたいものだな」

何の疑いもなくフッドが微笑むので、ピーターは内心指を鳴らした。

「じゃあさ、部屋に持って行くよ」
「そうか?悪いな」

立ち去るフッドを見送りながら、ピーターはまるでこれから悪戯をする子供のように含み笑いをする。
実際、これから悪戯をするつもりだった。
以前聖遊男ジャックが見つけた不思議な果実。
食べると本音しか言わなくなってしまい、二人で散々な目に合った。
しかし、しばらくすれば元に戻る事も分かったので、ちょっと試したくなったのだ。
聖霊牛若や聖界一本釣だと、後で何を言われるか分からないが、フッドなら付き合いも長いし、それ程怒られないような、そんな自信があった。
それに、普段飄々としているフッドが本当は何を考えているか、興味がある。
ピーターはこっそり持ち帰った果実を食べやすいように切り分けると、皿に乗せて上機嫌でフッドの部屋へと向かった。

「開いてるぞ」

扉をノックすると、普段と変わらぬ声が聞こえる。
ピーターは部屋に入るとフッドに皿を差し出した。

「ふぅん。林檎みたいだな」
「でも美味しいんだ。食べてみてよ」

フッドはちらりとピーターを見ると、一つ摘んでしげしげと眺めた。

「キミも食べたらいい。そんなに美味しいのなら一緒に食べよう」
「えっ!?」

フッドの言葉に、ピーターは動揺を隠して作り笑いを浮かべる。

「僕はこの前沢山食べたから…」
「遠慮するな。ほら、アーン」

さも当然といったようにフッドが果実を差し出してくるので、ピーターは仕方なしに一口食べた。
飲み込まないようにゆっくり噛むが、フッドが凝視しているので意を決して飲み込んだ。

「キミも食べろよ」
「ああ、そうするよ」

ピーターが食べたのを確認したからか、フッドも果実を口にする。

「ふむ…美味いと言えば美味いが…」
「やった!フッドが食べたぞ!」
「ん?」

慌てて口を塞ぐピーターに、フッドは訝し気に首を傾げる。
何でもないといったように、口を押さえたまま首を横に振るピーターを一瞥すると、フッドは手にした残りの果実を口に放った。

「何か企んでいるのかと思ったが、そうでもなかったのか」

ニヤリと笑うフッドに、ピーターはこくこくと頷いた。

「いつまでそうしてるんだ?君ももっと食べるといい」

ピーターの口から手を外すと、フッドは果実を掴んで寄越してくる。

「ぼ、僕はいいんだ!僕が知りたいのはフッドの本音だから…っ」
「私の…何だって?」

フッドが少し驚いたような顔をするのを見て、ピーターは額を押さえて天井を仰いだ。

「くそっ…失敗した」
「やっぱり何か企んでいたんだな」

腕を組んで呆れたように溜息を吐くフッドに、ピーターは叱られた子供のように肩を落とす。

「ごめん。ただちょっと面白そうだなって思ってさ…悪気はなかったんだ」
「これを食べるとどうなるんだ?」
「本音しか話せなくなる。例えば…僕の事どう思う?とか…」

思案する事が漏れてしまう為、ピーターは自分の言葉にハッとした後照れたような笑顔を見せた。

「なるほどな…全くくだらない事を…」

フッドは呆れたように溜息を吐く。

「君の事だが、少々子供っぽい所もあるが、非常に勇敢だ。それと綺麗なものが好きだな。時に無茶を見せるから心配になるが…私は気が合うと思っているし、好ましいと思っているよ」

流暢な説明口調で言われ、ピーターはぽかんとした後に吹き出した。

「フッドらしいや!」
「何か可笑しい事を言ったか?」
「いや、嬉しいよ。僕の事そんな風に思ってくれてるなんて、良く分かってるな」
「当たり前だ。大体、そういう君は私の事をどういう風に見てるんだ?」

そこまで言って、フッドは「あっ」と気付いて、気まずそうに口を結んだ。

「僕?フッドの事大好きだよ。キザだけどそれが格好つくしさ。冷静で頭もいいし、君がリーダーだったら僕は安心するって思ってる。ただ、ちょっと面白みがないかなって思う事もあるけど…」
「つまらなくて悪かったな」

ふてくされた表情を見せるフッドに、ピーターは吹き出した。

「キミ、案外そういうの気にするんだ?」
「ほっとけ!」
「つまらないんじゃなくて、真面目だなって言ってるんだよ」
「面白みがないと言ったじゃないかっ…くそっ…そんな事言いたい訳じゃないのに…」

悔しそうに舌打ちするフッドを見て、ピーターはますます笑った。

「キミ、案外こだわるんだな!」
「うるさい!大体何でこんなもの食べさせたんだ!」

肩を怒らせて怒るフッドに、ピーターは首をすくめた。

「だから、キミの本音ってどうなのかなって」
「私の本音など、面白くもなんともないだろうに…」
「そうかな?結構面白いけど…」
「ピーター!」

怒鳴るフッドに、ピーターは笑いながら謝った。

「全くキミは…世話の掛かる…だから目が離せないんだ」
「え?何か言った?」

顔を覗き込むピーターに、フッドはピーターの耳を引っ張ると有りっ丈の声で叫んだ。

「キミは危なっかしくて目が離せないって言ったんだ!」
「う、うるさいな!そんな大声出さなくても聞こえてるよ!」

ピーターの耳を離すと、フッドはフンッと鼻を鳴らした。

「それぐらいで言ったって、君は聞かないんだからな」
「そんな事ないだろ」

耳をさすりながらピーターは口を尖らせる。

「いや、聞かないね」
「しつこいなぁ。だから悪かったって…」
「だから傍に置いておきたくなるんだ」

そっぽを向いて呟くフッドの台詞に、ピーターは顔を上げた。

「今、何て?」
「君が食べさせたんだから、責任は君が取れよ」
「え、いや…その前何て言ったの?」

淡い期待の眼差しを向けるピーターに、フッドは声を立てて笑うとその鼻を摘んだ。

「君が可愛くて可愛くて仕方がないんだよ。放って置けないし目が離せない。私だけの籠に閉じ込めておきたいってね」
「なっ…!?」

みるみる赤くなるピーターの顔を見て、フッドは再び笑った。

「ばっ馬鹿な事言うなよ!」
「馬鹿とはなんだ。冗談じゃない事は君がよーく分かっているんだろ?」

フッドの言葉にピーターは口をぱくぱくとさせる。

「そんな、だってフッドは…」
「レスQ幻神も大事だが、君のが近しいのを分かっているのか?」
「だって僕、男だよ?」
「誰かを好きになるのに男も女も関係あるか」

何やら深刻な顔をし始めるピーターを見て、フッドは苦笑した。

「―というのが私の本音であって、君をどうこうしようって訳じゃない。言うつもりもなかったのに、君がいけないんだぞ。まあ、君に好かれていれば、私も嬉しいんだがな」
「…本当に、ごめん。フッドの事は好きだけど…フッドの好きと僕の好きってちょっと違うような気がする…」
「まあ、そうだろうなぁ」

肩をすくめてフッドは笑う。

「ところでこれはいつまで続くんだ?」
「数刻もすれば元に戻ると思うけど…」
「ふむ…」

顎に手をやると、フッドはやれやれと腕を組んだ。

「これ以上一緒にいると、とんでもない事になりそうだ。君は部屋に戻れ」
「えっ…でも…僕のせいだし…それにちょっと気になるって言うか…」

もじもじと顔を逸らすピーターに苦笑すると、フッドはその頭を撫でてやる。

「そういう所が、可愛いんだ。普段余り本音を見せない君が、私にだけは遠慮をしないだろう?」
「だって、キミといるのが気がラクなんだよ」

ピーターは微笑むと、頷いた。

「うん、僕やっぱりキミの傍が一番居心地いいや」
「嬉しい事を言ってくれるな」

素直に喜ぶフッドに、ピーターはフフっと笑った。

「だからさ、キミがどういう風に僕を好きなのか、教えてよ」
「そんなの、きっと君は幻滅するに決まってる」
「しないよ。驚くかもしれないけどさぁ、僕の事好きって言ってくれるの、嬉しいよ」

ベッドに座り込むピーターに、フッドは呆れながらも苦笑した。

「やれやれ…参ったな」
「なんならもっと食べる?もっとスラスラ言えるかも」
「…遠慮しておくよ」

皿に残った果実を恨みがましそうに見ながら、フッドはこの罰ゲームのような時間を少し楽しい気持ちになりながら、過ごすのであった。
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