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意地悪

・ヤマト神帝、神帝男ジャック







「しっかりしろよ!オイラが絶対に助けてやるからな!」

ぐったりとしたヤマト神帝を背負い、神帝男ジャックは森の中を進んでいた。
いつものように、ちょっとした言い合いになり、腹を立てて男ジャックは一人先へと進んだのだった。
いつまでも追い掛けて来ないヤマトを不審に思い、戻ってみるとそこにヤマトが倒れていた。
揺すっても叩いても目を覚まさず、原因が分からない。
悪魔にやられたのかとも思ったが、その割には戦いの痕跡も怪我もないようだった。
気付けば皆の姿もみえず、男ジャックは焦りを感じながらヤマトを背負った。
しかし、進めど進めど仲間の姿は見えない。
背負ったヤマトの規則正しい呼吸だけが聞こえ、彼が生きているという事だけが男ジャックを安心させた。

「しかし皆どこ行っちまったんだ?お前が大変だってのに、薄情だよなぁ!」

答えなど返ってこないのは分かっているが、男ジャックはヤマトに話し掛ける。

「一体何があったんだよ…拾い食いでもしたんじゃないか?」

一人アハハと笑うが、虚しくなって溜息を吐いた。
熱もないし呼吸も正常。外傷もないし、言ってみれば寝ているだけにも見えなくない。
しかしここは全く未知なる土地。何があってもおかしくはない。
男ジャックは小さな水溜まりのような池を見つけると、ヤマトを下ろして腰を下ろした。
水に顔を突っ込んで、頭を冷やす。

「オイラが、なんとかしなきゃ…」

独り言ちてはみるものの、何の対策も見いだせず俯いた。
水面に情けない自分の顔が映り、腹が立って男ジャックは再び水に頭を突っ込んだ。

「そうだ、こいつを掛けてみりゃ起きるかもしれないな」

男ジャックは手近な大柄な葉を器用に器に見立てると、水を汲んで遠慮なくヤマトの顔にぶちまけた。

「お!?」

水をかぶった瞬間ヤマトは顔をしかめたが、目は覚まさない。

「…ダメか」

傍に座り込むと、ヤマトの手を取る。

「後は理力か…」

目を瞑って精神を集中させる。握った手がほんのり光り輝く。
しかし理力を失っている訳でもないようで、男ジャックは目を開けると嘆息を吐いた。

「これもダメ…一体どうすりゃいいんだよ」

ピクリとも動かないヤマトを見つめていると、心配を通り越してだんだんと腹が立ってきた。

「くそ!人の気も知らないで!」

ヤマトの耳を掴むと、思い切り引っ張ってやる。
眉をしかめて痛みに堪える顔を見せるので、男ジャックはヤマトに馬乗りになってもう片方の耳も同時に引っ張った。

「まーったく!のんきに寝てる場合じゃないだろ!起きろよ!おーきーろー!」

まるで耳を引きちぎる勢いで力を込めると、突然ヤマトが起きあがり、男ジャックは転がるようにひっくり返った。

「痛い!痛いよ!何するんだ!」
「き、気がついたのか!?」
「キミね、乱暴なんだよ!もう少し優しくできないの!?」

耳をさすりながら、恨みがましそうにこちらを睨むヤマトに、男ジャックは顔を綻ばせると力が抜けたように座り込んだ。

「ちょっと、聞いてるのか…」
「よ、良かった…このまま死んじまうのかと思って、オイラ…」

ホッとしたのか涙をうっすらと浮かべる男ジャックに、ヤマトは気まずそうに頭を掻いた。

「そんなに心配してくれるなんて、思わなかったなぁ…」
「当たり前だろ!お前がいなくなったら…」
「男ジャック…」

ヤマトは心底安心した男ジャックの姿を見て、嬉しそうな笑顔を浮かべる。

「…でも、拾い食いとは失礼しちゃうよなぁ。ボクの事なんだと思ってるんだよ…」
「は?」

呟くヤマトの声に、男ジャックは怪訝な顔で顔を上げた。

「…何でその事知ってるんだよ」
「あ、いやぁ!その…なんでもないよ!」
「何でもなくないだろ…まさかお前、意識があったのか!?」
「いや、意識があったっていうか…」

慌てて目を反らしながら、ヤマトは立ち上がる。

「こ、こんな所でモタモタしてらんないよ!皆を追いかけなくっちゃ!」
「待て!どういう事か説明しろ!」

拳を握って立ち上がる男ジャックに、ヤマトはビクッとすると作り笑いを浮かべて走り出した。

「ゴメン!キミがボクの事心配してくれるか、試したかったんだよ~!まさかこんなに心配されるなんて、思わなかったんだ!」
「じゃあ全部芝居だったってのか!?」
「悪気はなかったんだ~!許してよ!」
「ゆ、許さん~!一発殴らせろ!」
「勘弁してくれー!」

拳を振り上げて追い掛ける男ジャックからヤマトは逃げる。
しばらく追い掛けっこをしていたが、遠くから頭を殴る音が聞こえた。

「バッカヤロー!もう二度とこんな真似するんじゃないぞ!」
「反省してます…」
「当たり前だ!」

頭にたんこぶを作ってうなだれるヤマトを見て、睨み付けていた男ジャックだったが、プッと吹き出した。

「笑うなよ~」
「自業自得だぜ!」

高らかに笑う男ジャックに、ヤマトもつられて笑い出す。

「ま、何もないなら何よりだよ!」
「キミっていい奴なんだなぁ」
「バカ。今頃気づいたか」

フンッと睨みつけてきた男ジャックだが、ヤマトと顔を見合わすと再び笑った。

「どうせ皆も一枚噛んでんだろ?早く合流しようぜ!…ただじゃおかねぇ」
「み、皆は関係ないよ!ボクが言い出しただけなんだから…」
「いーや、同罪だ!からかいやがって…」
「…参ったなぁ」

拳を作る男ジャックに、ヤマトは頭に出来たたんこぶをさすりながら、二度と悪戯半分にからかうのはやめようと心に誓った。
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