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一人じゃない

・ヤマト神帝、ヘッドロココ







「アリババ神帝…」

ヤマト神帝は呟いて目を閉じた。
脳裏には魔穴に吸い込まれるアリババ神帝の姿が蘇る。
アリババにとって、身を犠牲にしてまで助ける程、この自分に価値はあったのかと、ヤマトは思う。
悔やんだところで、アリババが帰ってくる訳ではない事は分かっている。分かっているが、どうしても考えてしまう。
そもそも日出剣をなくさなければ、あのような事にならなかったのだ。
自分がもっとしっかりしていれば―

後悔に後悔が重なり、気持ちは沈んでいく。

眠れない夜を過ごし、ヤマトは寝床を抜けると一人表へ出た。
空を見上げていても、この無縁ゾーンには星すらない。
それがまるで、自分の心に立ちこめた暗雲のようで、俯くと溜息を吐いた。

―一人で旅をしていたら、こんな気持ちにはならなかったのにな。

「くそっ…!」

全ての原因を追求しても、結局は何も変わらない現状に、苛立ちを覚えて地面を殴った。
拳の痛みが、自分が生きているという事を実感させられ、それがアリババから救われた命なのだと思うとまた溜息を吐いた。
眠ると悪夢を見そうなので、そのまま座り込むとぼんやりと闇夜を見つめる。

「ヤマト神帝」

不意に声を掛けられ、振り向くとヘッドロココが立っていた。

「眠れないのですか?」

尋ねられて頷くと、ヘッドロココは「私もです」と言って隣に座った。

「アリババ神帝の事を、考えていたのでしょう」

ヘッドロココの口からその名を聞いて、何故だか自分が悪い事をしているような気がして、ヤマトは黙って俯いた。

「あなたのせいではありませんよ」

まるで全てを見透かしているかのような言葉に、ヤマトは居たたまれない気持ちでヘッドロココを見る。

「あなた方誰一人欠けてはならぬのに、私が力不足だったのです」
「そんな事はありません!ボクが…ボクがあの時剣をなくさなければ…」

思わず大きな声を上げてしまったヤマトに微笑むと、ヘッドロココはかぶりを振った。

「何を言ったところで結果は変わらないのです。後悔をする気持ちは皆一緒です。ですが、我々は現実を受け止め、前に進まなければ」
「分かってます。それでも…それでもボクは納得できないんです」
「ヤマト神帝…」

ぎゅっと拳を握り、闇夜を見つめるヤマトを見るとヘッドロココも同じ闇夜を見つめた。

「あなたは、私が危険に陥ったらどうしますか?」

唐突な質問に、ヤマトは怪訝な顔を向ける。

「そりゃあ、命に代えても救ってみせますよ!」
「では、私ではなく神帝男ジャックや他の皆が危険な目に合ったら?」
「勿論助けます…」

何を言わんとしているかを気付かせるようなヘッドロココの視線に、ヤマトは握っていた拳を下ろした。

「…分かってます。ヘッドロココ様はそれと同じだと言いたいのでしょう?」
「ヤマト神帝」

ヘッドロココは少し困ったような笑顔を見せると、空を見上げた。

「仲間のせいで危険に陥る事もあるでしょう。勿論そうでない事もある。いつ何が起こるか分からない旅なのですよ」
「分かってます…」
「他の誰かのせいで、アリババ神帝が命を落としたのだとしたら、あなたはその誰かを責めますか?」

ヘッドロココの問いに、ヤマトはかぶりを振った。

「誰もあなたを責めてません。だから、あなたもあなた自身を責めないであげてください。アリババ神帝が命を懸けて託したのですから。いつまでも後悔をしていると、アリババ神帝が悲しみますよ」
「ヘッドロココ様…」

何度も自分に言い聞かせていた事だが、優しく微笑むヘッドロココの言葉が、暗雲を少し取り払った気がした。

「あなたに元気がないと、心配する方がいるんですよ」

振り向くヘッドロココの視線の先を見ると、他の神帝達がこっそり覗いている姿が目に見えた。

「…私もですが」

にっこり笑うヘッドロココに、ヤマトも微笑む。

「いやぁ、ボクって意外と皆に気に掛けて貰えてるんだなぁ」

照れたように頭を掻くヤマトに、ヘッドロココは頷いた。

「もっと強くなりましょう。戦いをなくすために」
「はい!」

元気良く頷いたヤマトにいつもの元気が戻ってきたのを感じて、ヘッドロココは顔を綻ばせた。

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