BANBAN★BINO

©2003 BANBAN★BINO

戯れ

・夢幻
・デュークアリババ、バンプピーター




一糸纏わぬ姿で無防備に寝転んでいる姿を、デューク・アリババはまじまじと見つめた。
視線に気付くとバンプピーターは手にしていた本を置き、可笑しそうに小首を傾げた。

「何?」
「いや……」

別に見惚れた訳ではないのだが、何となくバツが悪くなってアリババはピーターの見ている本を覗き込む。
中は写真集になっていて、可愛らしい家が写っていたので、アリババは思わず吹き出した。

「お前、そういうのが好きなんだ?」

アリババの言葉にピーターは少しムッとした顔をして本を閉じると、手元のサイドテーブルに置いた。

「悪い? ここ、ちょっとジメジメし過ぎだよ。悪趣味だしさ」
「悪くはないよ。お前らしいなって思ってさ」

言って頭を引き寄せると、軽く口付ける。
唇を離せばピーターが少しはにかんだ顔を見せるので、アリババはまた笑った。
好きだとか欲しいだとかは思わないが、気のおける相手ではあるな、とアリババは思う。
気紛れに何度か抱いてみたが、割と相性も悪くない。
実力もあるし、女になって体のいい相手で、傍に置いておくのに悪くないなとも思った。

「お前さ、俺と一緒になれよ」

気軽に伝えてみれば、ピーターはう~んと困ったような顔を見せた。

「どうしようかねぇ」
「俺の事、好きなんだろ?」

尋ねると、ピーターは意地悪そうな笑みを見せる。

「好きだけどさ、アンタはアタシの気持ちに今までずっと気付かなかっただろ?」
「だってお前、今まで男だったんだからそんなの分かる訳ないだろ?」
「意外とお堅いね」

言ってクスクスと笑うピーターに、アリババは口を尖らせた。

「それに、アンタはヤマトの傍のが楽しそうだったし、年上好みだし、アタシじゃ物足りないんじゃないかなぁ」
「そ、そんな事ないだろ」

慌てるアリババを見て、ピーターは声を立てて笑った。

「なんだよ。俺と一緒になれば、さっきみたいな家だって建ててやるのにさ」

ちぇっと鼻を鳴らすアリババに、ピーターは笑いながら首に手を回すと口付ける。

「物で釣ろうなんて、案外子供だね」
「お前が馬鹿な女だったら、もっとラクだったのに」
「そしたらアンタ、アタシの事抱こうとも思わないだろ?」

ピーターの言葉に、アリババは確かに、と頷いた。

「まあでも、アタシももっと馬鹿だったら良かったのにとは思うよ」
「どうして?」

首を傾げると、ピーターは肩をすくめた。

「そしたらさ、アンタがアタシの事を本気じゃないって気付かないで済んだのにサ」
「そんな……」

否定しようとして、アリババは口を噤んだ。
確かにピーターは特別な仲間ではあるが、それ以上でも以下でもない。
彼女がどういう関係を望んでいるのかは分からないが、恐らく自分ではそれを満たす事はできないであろう。
今までずっと、自分を一番に慕ってくれているのは分かっているから、できる限り応えてやりたいとは思う。
だがそれが叶わぬ程に、自分の身にはしがらみができ、また、離れていた時間が長すぎた。
それはピーターとて同じだろう。
アリババは、もう一人の特別な仲間の顔を思い浮かべてフッと笑った。

「そうだな。俺よりお前の事、大事にしてくれる奴がいるしな」

そう言うと、ピーターはきょとんとした顔をするので、それが可笑しくてその額を指で軽く小突いた。

「ただ、今のアイツじゃ、お前好みの家は建ててくれるか分からないなぁ」
「もうっ……誰の事言ってんだい?」

額を押さえながら首を傾げるピーターに、アリババはハハッと笑う。

「お前も俺の事は言えないなぁ」
「変な奴」

呆れたようなピーターを抱き寄せると、アリババは楽しげにベッドに転がった。

「なあ、もう一回抱かせてくれよ」

あっけらかんと言うアリババに、ピーターは笑いながら頷くとその身体を抱き締めた。

「お前が俺の誘いを断る日が来るまでは、楽しませてくれよな」
「そんな日は、永遠に来ないと思うけど?」
「それは、酷い話だなぁ」
「誰の事を言ってるのかは知らないけど、仕方ないだろ。アンタはアタシにとってずっと一番なんだからさ。それだけは変わらないのサ」
「まあ、お前がそれでいいなら、今はそれでもいいか」

深く考えても仕方がないしな、とアリババは思い直すと、一時の戯れに身を投じる事にした。
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