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バレンタインのお話③

・夢←幻
・アリババ神帝、神帝ピーター、神帝フッド
・腐向け







神帝ピーターはいつになく落ち着きない様子でいた。

懐にある、先だて寄った街で買ったチョコレートが無事にある事を確認しながら、さてそれをどうやって相手に渡そうかと思案していた。
深く考えずに買ってしまったが、こんな事なら皆の分も買っておけば良かったと悔やんだ。
そうすればさり気なく皆に配ると同時に渡せたのに。
いや、逆に皆と違う物を渡したら、ヤマト神帝や神帝男ジャックに気付かれ、追求されたかもしれないからこれでいいのだ。
そんな事を考えながら、それよりこれをどのタイミングで渡そうかと、堂々巡りになる思考に頭を抱えた。

「神帝ピーターどうしたんだよ、具合でも悪いのか?」

隣を歩いていたアリババ神帝に肩を叩かれ、ピーターは面白い程驚いた。

「何だよ大袈裟だなぁ、そんなに考えこんで、何かあったのか?」
「いや、すまない。何でもないんだ…」
「本当か?ちょっと休んだ方が良くないか?おーいヤマト神帝!」
「あっ!大丈夫だから…」

歯切れ悪く答えるピーターにアリババは首を傾げると、ピーターが止めるのも聞かずに、先頭を歩くヤマト神帝に声を掛けた。

「どうした?」
「ちょっと休憩しないか?俺疲れちゃってさぁ」

アリババの言葉に、ヤマトもそうだな、と言ってヘッドロココに相談しに行く。

「皆ー!ちょっと休憩しようぜー!」

ヤマトの声に、一同はやれやれと適当に腰を下ろした。

「(チャンスだ…)」

ピーターは懐に手を当てる。
いや、しかし皆一緒だ。状況は余り変わっていない。

「俺、水飲める所探してきてやるよ!」

アリババが立ち上がるのを見て、ピーターも思わず立ち上がる。

「ぼ、僕も一緒に行くよ」
「え?いいよ、お前は休んでろって」

具合が悪いと勘違いしているアリババは、困った奴だと言わんばかりにピーターを座らせようとした。

「別にいいじゃないか。二人で探してきてくれた方がこちらも安心だ」
「そ、そうそう!一人だと危険かもしれないしね!じゃあ、ちょっと行ってくるよ!」

そのやり取りを見ていたフッドの言葉に、ピーターは頷いて皆に告げると、まだ何か言いたそうなアリババの背を押してその場を離れた。

「…フッドのお陰で助かった」
「何か言ったか?」

ホッと胸を撫で下ろすピーターに、アリババが問う。

「い、いや何でもない!」
「おかしなヤツだなぁ。俺はてっきりお前の具合が悪いと思ったから…」
「あ、ありがとう。具合は悪くないんだ。心配掛けてすまない」
「別に、何ともないならそれに越したことはないけどさぁ」

申し訳なさそうにするピーターを見て、アリババは肩をすくめた。

「ア、アリババ!」
「ん?」

勇気を出して呼び止めたものの、何の疑いもなくこちらを振り向くアリババの顔を見たら、急に自分が滑稽に思えてきて次の言葉が出て来ない。

「何だ?」
「そ、その…」

いつも世話になってるからと、ただそうやって渡せばいいんだ。
そう思っても本心が邪魔して緊張してしまう。

「あっ!あそこに小川がある!」
「あっ…」

アリババが嬉々として走り出すのを見て、ピーターは肩を落とした。

「…上手くいかないなぁ」

一人呟いてアリババを追うと、二人で水筒に水を汲んだ。

「良かったなぁ!ピーターも元気なんだったら一安心だよ。早く皆の所に戻ろうぜ!」
「そうだな…」

満面の笑みで告げると、アリババはとっとと皆の元へと走って行ってしまった。
一人残されたピーターは溜息をついて歩き出す。

「せっかくチャンスを与えてやったのに、何をやっているんだ君は」
「じ、神帝フッド!?」

背後から声を掛けられ、ピーターは驚いて振り向いた。

「い、いつからそこに…」
「さっきからいたよ。二人じゃ心配だから私もついて来たんだ。気付かなかったのか?」

さも当然といったフッドの台詞に、ピーターはかぶりを振った。

「それにしても、君は案外不器用なんだなぁ」
「…何が」

だんだんどうでも良くなってきたピーターは元気なくフッドを見やった。

「それだよ、アリババに渡すつもりだったんだろ?」

懐を指されてピーターは、「ああ」とそれを取り出した。

「気にせずに渡せば良かったものを…」
「…………」

ピーターはしばし手に持った包みを見ていたが、おもむろにフッドに差し出した。

「何だ?」
「…フッドにあげる」

ピーターの言葉に、フッドは呆れたように腰に手を当てた。

「あのなぁ、そんな大事な物私が受け取れるか」
「…僕にとってはフッドも大事だからいいんだ。いつもありがとう」

若干気落ちしてはいるが、フッドの手にその包みを押しつけるとピーターは笑った。

「それ、僕からの気持ちね。キミがいるから僕もこうやって安心していられるんだ。あ、お返しとかいいから」
「お、おい…」

止める間もなく走り去るピーターを見送って、フッドは溜息を吐いた。

「…全く…そんな顔をされたら食べにくいじゃないか…。まあ、ありがたく受け取っておくよ」

フッドは手にした包みをまじまじと見て苦笑すると、大事そうにしまった。



後日、皆に誰から貰ったのか冷やかされたのは、言うまでもない。
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