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悪巧み

・化魔王フック、土のサンドラ



「ねえフック」

呼び止められて化魔王フックは振り向いた。
先日自らが連れてきた土の大層の姫―サンドラがそこに立っている。

「なんだョ。気安く呼ぶな」

顔はまあ綺麗だとは思うが、天真爛漫、好奇心旺盛、まだまだ子供っぽいところがあるこのサンドラが、化魔王は苦手だ。
何の因果かピーターはエラくこの小娘を気に入っている為、命じられるまま連れては来たが、お目付け役まで担わされて正直辟易としていた。
最初は大人しかったが、それも数日。
ピーターが親の敵と息巻いていたのも誤解が解けたのか、今では慣れ慣れしく自分に接触してくる。
化魔王は顔をしかめて、件の主の顔をねめつけるように見た。

「あんたさぁ、ピーターの事好きなんでしょ?」

当の本人は化魔王の様子なぞお構いなしに、ニコニコと言い放つ。
突拍子もない言葉に、化魔王は思わずむせた。

「な、何言ってんだ!?」
「違うの?」
「当たり前だろ! ませた事言ってんじゃねーョ!」

慌てて否定すれば、サンドラは「ふーん」とさほど興味なさそうに相槌を打って近寄り、身体を密着させると不適な笑みを浮かべる。

「そんな事言ってさ、私には分かってるって。誰にも言わないから」
「お前なぁ……」

頭を抱えたくなるのを抑えながら、サンドラから離れると化魔王は鼻を鳴らした。

「フッドと上手くいってないのか?」

何気なく問うてみれば、今度はサンドラがぐっと顔をしかめるので、化魔王はははぁ~んと内心ほくそ笑む。

「図星かョ。そうだよなぁ~そりゃぁ~お前みたいなちんちくりんより、ピーター様のが実力もあるし色っぽいし、何より元々仲間だったから付き合いが長い。可哀想だが、お前じゃ適わんよなぁ」
「う、うるさいな!」

顔を真っ赤にさせるサンドラを指差して笑っていたら、思いっきり足を踏まれた。

「いってーーーな!」
「あんただって相手にされてないじゃない!」
「だから俺は違うって言ってるだろう!」

しばし睨み合っていたが、フッと息を吐いて一瞬目を伏せると、サンドラは挑戦的な目を向けてくる。
その視線に一瞬ドキっとしつつ、気圧されて化魔王は後退った。

「な、なんだョ」
「ね、私と組まない?」
「はぁ?」

拍子抜けした声を上げる化魔王に構わず、サンドラはニヤリと笑って顔を近付け耳を貸せと手招きする。
とは言っても長身の化魔王と背の低いサンドラでは、頭一つ分ぐらいの差がある為、化魔王は渋々屈んでやった。

「私はフッドを手に入れたい。あんたはピーター。二人で邪魔すんの」
「だから俺は……」

段々否定するのも面倒になり、化魔王は小さく溜息を吐いて悪戯を企てるような顔を見せるサンドラを見つめた。

「邪魔するって、どうすんだョ」
「だからぁ、それを二人で考えようって言ってんの」
「……馬鹿馬鹿しい」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

呆れて離れようとすると、サンドラに腕を捕まれる。
すがるようなサンドラに、化魔王は足を止めた。

「お前、ピーターを倒したいんじゃなかったのか?」
「そ、それは……」
「そんなちっぽけなイタズラみたいな復讐して、楽しいのか?」
「…………」

化魔王の言葉にサンドラはしゅんとして掴んでいた手を離す。

「ごめんなさい……だって……私の事知ってる人、ここにはフッドしかいないから……」

俯くサンドラを見て化魔王は溜息を吐くと、その小さな頭を指で小突いた。

「ばーか。あのワガママなピーターだってお前の事気に入ってるの、見りゃ分かるだろ?それに俺だって…」

そこまで言って、化魔王はコホンと咳払いすると顔を上げたサンドラの髪をくしゃくしゃと撫でた。

「退屈はしてねぇョ」
「フック……」

嬉しそうな顔をするサンドラをチラと見て、化魔王は今度は自分の頭をバリバリと掻くと、サンドラに向き直った。

「ま、確かに俺やお前を後目に仲良しごっこされてるのは、面白くねぇよな」

化魔王の言葉に、サンドラは頬を紅潮させて目を輝かせる。

「戦ったら適わないし、どっかであの二人をぎゃふんと言わせられたら面白ぇかもな」
「でしょでしょ!」

こくこくと頷くサンドラに、化魔王はへへっと笑った。

「じゃあ作戦会議しようぜ。後で殺されない程度にアイツら脅かす方法、考えるんだ」
「脅かすんじゃなくて、邪魔するの!」
「あーハイハイ。どっちでもいいや」

面倒臭そうに答えながら歩き出すと、サンドラが小走りに付いてくるので化魔王はくすりと笑う。

「くだらねー事に協力してやるんだから、感謝しろよ~?」
「うん!ありがと!」

素直に頷くサンドラに、少しくすぐったい気持ちを覚えながら化魔王はもう一度へへっと笑って鼻の下を掻いた。
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