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それって

・バンプピーター、化魔王フック、土のサンドラ、バンパイアフッド



バンプピーターは水の大層の神殿の中庭で、化魔王フックを見つけた。
いつもと様子が違う化魔王に首を傾げると、近付いて足で小突いた。

「どうしたんだい。上の空でさ」
「あ、ピーター様」

化魔王はピーターに気付くと、ヘヘッと笑う。

「何ニヤニヤしてんだ気持ち悪い」
「いやね、あの子可愛いなってさ」
「はぁ?」
「サンドラだよ」

化魔王の言葉にピーターは口をあんぐり開けて、自分の子分のニヤけ顔を見下ろした。

「アンタ、そういう趣味だったの」
「ち、違ぇよ。でもさ、健気じゃねぇか。フッドに一途でさ」
「アンタの出る幕じゃないね」
「分かってるって。だからさ、応援してやりたくなるっていうか……」
「ふーん。まあ、勝手にすりゃいいけど」
「あ、ちょっと待てョ」

何だそんな事かと踵を返して立ち去ろうとするピーターに、化魔王は慌てて声を掛ける。

「何?」
「お前が昔のよしみでフッドが気が楽なのは分かるんだけどよ、あんまり仲良くしないでやってくれョ」
「なんだいそりゃ」

立ち止まって振り返り、呆れたようにピーターは腰に手を当てて首を傾げた。

「サンドラがさぁ、ヤキモチ妬いてんだョ」
「知らないよそんなの。アンタの言う通り、フッドとは昔馴染みだってだけだし」
「分かってるって。ま、でもちょっと気にしてやってくれてもいいだろ? お前だって、あの子の事気に入ったから連れて来たんだろ?」
「アンタ……」

ピーターは化魔王を見ると小さく溜息を吐いた。

「お人好しっていうか、変わってるっていうか……ま、考えといてやるよ」
「ヘヘッ、さすがピーターだぜ」
「様」
「へいへい、ピーター様」

やたら嬉しそうな化魔王に苦笑しつつ、ピーターはその場を去った。

「……全く、浮かれちゃって気楽なモンだね」

一人呟きながら神殿内を歩いていると、今度はサンドラがきょろきょろと何かを探しているのを見つける。

「フッドなら部屋にいると思うよ」
「あ、ピーター」

こちらに気付くと、サンドラは小走りに駆け寄ってくる。
自分を敵と息巻いていたのも束の間、今ではすっかりお友達感覚だ。
ピーターは心の中で苦笑すると、サンドラに笑い掛けた。

「一人でウロウロしてると危ないよ。味方ばかりじゃないんだから」
「うん、ごめんなさい。あのね、フックを探していたの」
「フックぅ~? フッドじゃなくて?」

問えばこくんと頷いて少し上気した顔を見せるサンドラに、ピーターは溜息を吐いて頭を抱えた。

「アイツなら中庭にいたけど……サンドラ、アイツに何か用なの?」
「うん。私ここの事よく分からないからね、色々と案内して貰う約束してて」
「あ、そう」

かぶりを振りながら立ち去ろうとしたら、また呼び止められてピーターは振り返る。

「ねえピーター、フックって素敵ね」
「はぁ?」
「ちょと意地悪だけど、よく見ると格好いいしお兄ちゃんみたいだし。ねえ、ピーターはフックの事好きじゃないの?」
「冗談……」
「ふーん……そっか」

何かを思案するようなサンドラにピーターは眉をひそめて近付くと、その顔を覗き込むように見つめた。

「サンドラちゃん、アンタはフッドが好きなんでしょう?」
「うん!でも……あんまり構ってくれないし……よく分からなくなってきちゃった。私は家族だと思ってるけど……やっぱりパパやお兄ちゃんとは違うのかな」
「……あのバカ」
「あ、でもいいの。その代わりフックが遊んでくれるって。ピーターもフッドも、魔界君主様を助けなきゃいけないんでしょ?お仕事頑張って?私も強くなれるように頑張って早く手伝えるようにするね」

笑顔で去っていくサンドラを見送って、ピーターは目眩を覚えながら自分の部屋とは別の部屋へと向かった。

「――……と、いう訳なんだけど」

バンパイアフッドに先程のサンドラとフックの様子を伝えると、ピーターは溜息を吐きながら頬杖を付く。
一部始終聞き終えたフッドは、笑いを堪えるようにその様子を見ていた。

「笑い事じゃないだろ? 誰のせいだと思ってんだ」
「私は関係ないだろ。それともお気に入りの子分を盗られそうで面白くない?」
「そんな訳あるか。アンタが困るんじゃないかって思ったから、わざわざこんなくだらない事伝えに来てやったんじゃないか」
「それはどうも」

笑いを噛み締めながら、フッドはグラスに酒を注ぐとピーターに勧める。
睨むようにそのグラスを受け取ると、ピーターは一気に飲み干した。

「お、いい飲みっぷりだな」
「アンタね……」
「まあいいじゃないか。好きにさせておこう」
「いいの?」

ピーターが尋ねると、フッドは肩をすくめながら空いたグラスに再び酒を注ぐ。

「何、私は困らんさ。それに土の大層はもう駄目だろう。フィアンが何かしてるようだが……どちらにせよアンセス様がいなければ元通りにはならないだろうなぁ」
「薄情な男だね」
「火の大層をあっさり捨てたお前に言われたくないなぁ」
「アタシは別にあそこについた訳じゃない。こちらにつけてせいせいしてるところさ」
「ふぅん?」

含みを込めたように頷いて、フッドはピーターを改めて見つめる。

「文句言ってる割には、楽しそうだな」
「そうかい?ま、少なくとも前よりは退屈してないかな」
「それは結構な事だな」

フフっと笑うピーターに、フッドも満足そうに頷くと笑ってグラスを傾けた。
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