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可愛い子

・バンプピーター、土のサンドラ



バンプピーターに手を引かれるがまま、サンドラは遅れを取らぬよう小走りに続いた。
半ば強引に連れて来られ、父の敵かもしれぬ目の前のピーターの背中を、サンドラはじっと見つめる。
散々大層中の炎域化を計った悪魔のようなこの女が、何故自分を助けるような真似をするのか。
そう思ってサンドラはかぶりを振った。
自分も悪魔ヘッドである事には変わりがない。
ただピーターは、サンドラが強くなりそうだからと言った。
強くなったら、再び剣を交える事になるのだろうか。
一度対峙した時の事を思い出して、サンドラはぶるっと身震いした。

「アタシ達もさぁ、好きでここに来た訳じゃない」

不意にこちらを向かずに、歩きながらピーターが口を開く。

「アタシもフッドも、ハムラビとメディサのヤツにハメられたも同然なんだ」

ピーターの言葉にサンドラは顔を上げてピーターの後ろ姿を見つめた。

「操りの糸だかなんだか知らないが、それのせいで仕方なく、さ。でも、かつての仲間がいたから今ではそれもまあ、受け入れられるのさ。癪には触るけどね」

ピーターはそう言うと手近な場所に腰を下ろし、サンドラにも座るよう勧める。

「それでもフッドは、アトランチンの秘宝を探しているよ。アンタの命じた通りにね」

その言葉に、サンドラは少し顔を綻ばせてピーターを見ると、隣に腰掛けた。

「そうなの……良かった」
「アンタ、本当にそれで良かったの?」
「パパの……意志だから。私が継がなきゃ」

視線を落とすサンドラを見て、ピーターはふぅんと頷いた。

「アンタのパパもさ、強かったよ」
「ねえ、本当に……パパを倒したのはピーターじゃないの?」

疑いの眼差しを向けられ、ピーターは肩をすくめる。

「強かったけど、アタシの方が強かった。アタシが止めを刺す相手は、自意識過剰な生意気なヤツと、アタシより強いヤツだけさ。それだけがアタシを満たしてくれる」

ただ意味もなく大層を襲っていたと思っていたが、彼女なりの美学がある事を感じ、サンドラはピーターに思っていた自分の感情が少しだけ氷解したのを感じた。

「……あ、前者は違うよ。バカを殺しても面白くもなんともない。ファイアートの奴らをアリババが殺してくれたのには、ちょっと感謝してるんだ」
「私を見逃してくれたのも、私が弱かったから?」
「弱い者虐めは趣味じゃない。それに、アンタは戦いにはまだ不慣れだが、それに勝る意志の強さがあるだろ?」

フフ、と笑うピーターを見て、サンドラは首を傾げる。

「私は強くない……本当はパパにはフッドに私を守れと命じろって言われてたの。でも……どうしても言えなくて……だってパパが……大層は……私とお兄ちゃんでこれから守らなきゃいけないって思ったから……パンゲラクシーも……」
「アタシはそれが、アンタの強さだと思うけどね」

ピーターに言われ、サンドラは驚いたように彼女の顔を見た。
ピーターは立ち上がって伸びをしながら振り向くと、サンドラに微笑んだ。

「サンドラ、アタシは土の大層やパンゲラクシーがどうなろうが、正直どうでもいい。だけどね、アンタのパパがアンタを守ろうっていう意志はさ、アタシが継いでやるよ。それが、アタシがアンセスを殺してない証拠になるかは分からないけど……」
「どうして?どうしてそこまでしてくれるの?だって……関係ないのに……」

俯こうとするサンドラの顔を上げさせると、ピーターは顔を覗き込むようにして見つめてくる。

「濡れ衣を着せられるのはゴメンだからね。それに、アタシは強い子が好きだって言ったろ」

ピーターは笑うとサンドラを離すと、ついてこいと言うように促した。

「ま、アタシはフッドと違ってアンタの命令は受けないけどね。やりたいようにやらせてもらうだけさ。だからアンタも好きにするといい。アタシが守ってやるから」

差し出された手を戸惑いながら受け取るサンドラを見て満足そうに頷くと、ピーターは彼女の手を引いて再び歩き出した。
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