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素直の共鳴

・豊幻
・バンパイアフッド、バンプピーター



「ちょっと……いいなぁ」
「何が?」

自分の部屋のようにくつろぐバンプピーターが、ほぅっと息を吐いて呟くので、バンパイアフッドは手にしていた本から目を離して尋ねた。
目が合うとピーターはフッドを品定めするようにじっと見た後、かぶりを振って溜息を吐きソファにもたれ掛かって明後日の方向を見つめる。

「何がいいんだ?」
「……何でもないよ」

図々しく自分の部屋へ訪れ、勝手に酒を空けているピーターに軽くあしらわれ、フッドはムッとして本を置くと隣に座った。

「気になるだろ」

ピーターの手からグラスを奪って中身を飲み干すと、今度は彼女がムッとした表情でそれを見る。

「フックとサンドラがさ、楽しそうでいいなってちょっと思ったんだよ」
「ああ、アイツらか。ちょっと目に余るな」

フンっと鼻を鳴らしながら酒を注ぐと、一口二口口にしてフッドがグラスをピーターに返した。

「アンタでも気になるんだ」
「気にはしてないが……それより珍しいな、お前がそんな風に思うだなんて」
「アタシよりよっぽど楽しそうじゃないか。羨ましいよ」

やりたい放題していると豪語する割に満たされない顔を見せるピーターを見て、フッドはなるほどと頷く。

「私じゃ満足できないか」
「そんな事は言ってないだろ」
「顔に書いてある」

指を差せばピーターは眉間に皺を寄せて視線を逸らすと、頬杖を付いて手にしたグラスを弄んだ。

「私もフックみたく甘えてやろうか」
「アンタがぁ?」

鼻で笑いながらフッドを一瞥したピーターだったが、ふと思案するように視線を落とすとふふっと笑って顔を上げた。

「面白そう、やってみてよ」

言われてピーターにのし掛かるように身を乗り出してみたフッドだが、顔を近付けた所で動きを止めた。

「……甘え方が分からん」
「はっ」

思わず吐き捨てるように笑うと、ピーターは肩をすくめる。

「……アタシも甘やかし方が分からないよ」
「困ったな」

真剣な顔で腕を組むフッドを見て、ピーターは吹き出した。

「笑い事じゃないぞ」
「そんなに悩む事でもないだろ」
「そうでもない。お前がそういう気になるなんて、滅多にないからな。この機会を逃すなんて勿体ないだろう」
「何言ってんだか」

何に対しても真面目なフッドを見ていたら何故だか肩の力が抜け、ピーターは彼の肩に腕を掛けて微笑んだ。

「じゃあさ……アタシにどうして欲しいか言ってみなよ」
「ん、そうだな……」

フッドはしばし考え込むと、ピーターの腰に手を回した。

「私の事好きだって言ってみてくれよ」
「はぁ?」
「甘やかしてくれるんだろ?」

眉尻を上げるピーターに意地悪く告げると、ピーターは文句を言いたそうな顔を戸惑わせてフッドを睨んだ。

「……好きだよ」
「もっと可愛らしく言えよ」

ぐっと怒りを堪えながらも、おずおずと抱き寄せられるままにピーターはフッドを上目使いで見る。

「……好き」
「名前も呼んで」
「フッド、好き……」

言って顔を赤らめるピーターに、笑いが込み上げてくるのを押し殺しながら、フッドはピーターの身体を抱き締めた。

「くそっ……やっぱやめだ!」
「どうして? いいじゃないか。もっと言ってくれよ」
「面白がって……んっ……」

逃れようとするが、そのまま口を塞がれソファに押し倒されてピーターはフッドの服を掴んだ。
唇が離れると至近距離で見つめられ、見慣れている筈がいつもより男を感じて、ピーターはドキっとする。

「私も好きだよピーター」
「……フッド」
「こういうお前も、可愛くていい」
「……ばか」

照れ臭いような、少し嬉しいと感じる自分に怒りを感じながらも、怒る理由が分からずピーターはフッドを引き寄せて胸に顔を埋めた。

「結局アンタのが上なんだ……腹立たしい」
「そんな事はない。いつもお姫様のご機嫌を伺ってるんだ。少しぐらい労ってくれてもいいだろう?」

髪を撫でられ顎を掴んで顔を上げさせられたら、何だか気を張っている自分がバカバカしく思えてピーターはふっと笑う。

「昔はもっと素直になれた気がするんだけど」
「昔から素直じゃなかったさ」
「そう?」
「今のお前は自由奔放に見えて、その実昔と変わらず遠慮ばっかさ」
「はぁ……相変わらず、アンタの目は誤魔化せないね」

少し自嘲気味に笑うピーター額を寄せると、フッドは微笑んだ。

「だから私の所に来るんだろう?」
「そうかもしれないね。アンタの傍は落ち着くから」
「私の事好きか?」
「好きだよ」

素直に頷くと満足気な顔を見せるフッドに、ピーターは子供みたいだと思う。
同時に、自分が素直になればフッドも素直に感情を見せるのを感じて、くすぐったい気持ちになった。

「このまま抱いても?」
「いいよ。好きにしなよ」

久々に穏やかな気持ちのまま、ピーターは目を閉じるとフッドにその身を委ねた。
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