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一つだけ

・バンパイアフッド、バンプピーター



「ふふん。ヤマトに負けておめおめと逃げ帰ってきたのかい」

バンプピーターに鼻で笑われ、バンパイアフッドは眉をひそめてそちらを見た。

「ハッ! 情けないねぇ」
「そういうお前はどうなんだ。牛若は倒せたのか」
「くふ……楽しみは後で取っておくのさ」

歪んだ笑みを浮かべるピーターに、フッドは視線を落とした。

「ピーター、余り私に関わらないでくれないか」
「なんだよ。アンタの事はいけ好かないが、今は同じ穴の狢だろ?」
「それはそうだが……」

フッドは言ってふっと吐息を吐く。

「お前と私では目的が違うのだ」
「はあ?何が違うってんだ。アリババを支配者にするのは変わらないだろ」
「そうではない。戦う意識が違うという意味だ」

クライシス化が進み、ともすれば戦いに、破壊に快楽を求めるようなピーターのやり方は、否定はしないが自分とは違うとフッドは思う。

「相変わらず暗い奴。アンタも何も考えなきゃいいのさ。そうすればラクになる」
「そうしたいのはやまやまだが、私はラクになってはいけないのだ。申し訳が立たんからな……」
「何に対して申し訳が立たないってんだよ」
「色々、だ。お前には分からんさ」

フッドの言葉にピーターはムッとしたが、肩をすくめるとやれやれとかぶりを振った。

「まだロココの言う事を気にしているのかい? それともあの土の大層のお嬢ちゃん?」
「…………」
「律儀な奴だね。そういう所は昔から変わらないんだから」
「……約束も守れず、迷いのある私とお前では、違うんだよ」
「約束ねぇ……」

ピーターは何かを思案するように腕を組む。

「お前と私では違う。ピーターもういいだろう。私ではお前を苛立たせるだけだ」
「確かにね。アンタを見てるとイライラするよ。ヤル気がないならアタシが止めを刺してやってもいいんだけど?」

冗談ともつかぬピーターの言葉にかぶりを振ると、フッドはその場を立ち去ろうとした。

「ま、アンタの中では何もかも守れなかったのかもしれないけど、一つだけ守れてる約束があるよ」

フッドは振り向くと、腰に手を当てて呆れたような顔をするピーターを見やる。

「……それは何だ?」
「アタシと、アリババの側にいるって事さ。それだけはずっと変わらないだろ。それは、アンタが自分の意志で決めた事だ」
「ふっ……」

意外なピーターの言葉にフッドは思わず笑みを漏らした。

「何笑ってんだ」
「お前がそんな事を言うとはな」
「事実を言っただけさ。別に他意はない」
「いや……そうだな。私達がアリババをリーダーとしている事は、あの時と一緒だ」

遠い遠い遙か昔、まだ神子だった頃の自分達を微かに思い出し、フッドは懐かしさに目を細める。
ピーターの言った意味が同じかどうかは分からないが、確かに自分はあの時と同じ三人でいる。

「ありがとうピーター。もう少し、戦える気がするよ」
「ふんっ。腑抜けにいられたら迷惑だって話なだけだよ。死ぬ気でやらないのなら、いつでもアタシが殺してやるから覚悟しとくんだね」
「フフ……それだけは勘弁して貰いたいからな。そうならんよう、精進しよう」

口では強気な事を言っているが、ピーターなりに自分を心配してくれたのかと思ったら、また笑みがこぼれた。
本人のはそんなつもりはないのかもしれないが。

――もう一肌、アリババの為に脱ぐとするか。

それが自分に架せられた新たなオーダーだ。
フッドはそう思うと、その場を後にした。
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